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【始めるより難しい】中学受験のやめ時3つの判断基準

初めに

 筆者は、20代だった30年前、ある学習塾で6年間受験算数を教えてきました。その過去に教えてきた経験から、今回は中学受験を目指す子供を持つ親に向けて送る中学受験のやめ時を紹介します

 

 昨今の小学生は、習い事を3,4つ掛け持ちする子も少なくありません。習い事は始めるのは簡単ですが、やめるのは難しいものです。

 子供を学習塾に通わせている親である皆さんはこんなことを考えていませんか?

  • 自分の学力よりも低いはずがない
  • 自分の子供だけはあとから伸びるタイプ
  • 我が子はまだ本気になっていないだけ
  • 他の子の倍の努力をすれば挽回できる

 すべて幻想です。私が算数を6年間教えていた学習塾では、入塾して一定以上の時間が経過して成績が安定した後、ある日を境に劇的に化けて他の子供をごぼう抜きした子供は一人も見たことがありません。この記事では、中学受験を諦めることを決断したほうがいい、私が考える3つの判断基準を紹介します。

 

 

中学受験のやめ時

塾に通い始めて半年経過した時の偏差値が希望校と10以上差があるとき

 点数と違って、偏差値は他の子供との比較を表す数字なので、容易には上がりません。私の経験では、塾に通いなれて半年程度経った時の偏差値がその子供の潜在能力を表すと思っています。

 例えば、希望校の合格率が50%の学校の偏差値が60に対して、塾に通い始めて半年経過した子供の偏差値が45だとします。このあと、一生懸命勉強すれば当然学力は上がります。しかし、偏差値は45を維持できている程度が普通です。なぜなら、他の子供も同様に学力が上がるからです。

 もし、45が48になれば相当な努力をした、50になれば奇跡と言ってもいいくらいです。45が55やそれ以上になる可能性は0%です。もう一度言うと、いったん安定した偏差値が10以上上がる可能性は0%です。

 過去に中学受験に挑戦した人を全員調べれば、もしかすると10以上、20以上上がった子供も一万人に一人くらいいるかもしれません。実際にインターネットで調べると、そのような奇跡の物語も見かけます。しかし、それは極めてレアな話で、実質0%と考えるべきです。

 我が子だけはまだ伸びる、我が子だけはまだ頑張れる、それは親のエゴです。極端なケースでは、諦めきれない親の気持ちが子供への虐待にもつながりかねません。

 

5年生2学期以降通っている塾で下のクラスに落ちたとき

 学習塾にもよりますが、クラス分けの基準は以下のどちらかだと思います。

  • 純粋に点数とクラス人数だけで機械的に分ける
  • 点数と学習態度で総合的に上げる子供と落とす子供を決める

 この中で、後者の判断基準を採用している学習塾(有名どころだと日能研)の場合は、特に、クラスが落ちた生徒はその後成績が上がる可能性は低いと考えたほうが良いでしょう。

 すでに成績が希望校を超えているのであれば継続するのもありですが、まだ希望校に届いていないタイミングでクラスが落ちたら、そこで諦めるのが賢明です。

 

子供が辞めたいといったとき

 学習意欲がなくなったら、理由を確認して、しばらく心境に変化がないか様子を見ましょう。しばらくしても変化がなく、宿題を忘れても平気な状態になったら、そこがやめ時です。

 親は勉強を教えることよりも、やる気を起こさせる方がはるかに難易度が高いです。やる気がなくなったのであれば、普通は希望校に対する成績もかなり開きがあると思いますので、やめる決断をしていいと思います。

 

最後にアドバイス

 中学受験は、途中でやめるともったいない、と思う方もいるかもしれません。しかし、途中でやめて公立に行くことになったとしても、塾に週3日や4日通ってできた勉強する習慣は無駄になるわけではありません。事実、中学受験に失敗して公立に行った子供は、中学校での成績は良くなるのが普通です。

 やめることを決断したら、小学生のうちにしかできない別のことをやらせてあげましょう。勇気をもって子供にやめる道を作ってあげるのも、親である読者の皆さんの大事な役割ではないかと思います。